ミヤマシロチョウは国外では、朝鮮半島北部、アムール、ウスリー、中国北東部、同西部、チベットに存在します。ふるさとは中国西部とみられており、約150万年前に始まった氷河期によって、移動性のあるミヤマシロチョウは、寒期(氷河期)に山を降り、暖期(間氷期)に山を登るという行動を繰り返しながら、やがて朝鮮半島へたどりつきます。そして大陸と日本が繋がった激しい寒波の際に朝鮮半島を南下して日本本州に避難しますが、一部のものが帰るべき道を間違えて中部地方の山岳地帯を登ってしまったのでしょう。その結果が、日本、中国東北、朝鮮北部との遠隔分布を引きおこしたと思われます。
ミヤマシロチョウは人が近寄ってもあまり逃げません。これが捕まえやすく捕獲にあう要素の一つですが、氷河時代の以前から食草を変えず、生活スタイルも変えずにのんびりマイペースで生きてきた現われであるように思うのです。