白根山地蔵岳の方で、ホシガラスがしきりに地面をつついている姿が見えます。湯釜半径1km圏外のところまで登って近づき、様子を見てみました。

ここは矮小低木が密生する偽高山帯、風衝地です。強風のために雪が積もらず、ホシガラスにとって餌を隠す絶好の場所だったのです。近寄ってホシガラスがほじくった穴を観察します。

周囲にはハイマツの実の外殻が散らばっています。もちろん、中身の胚珠は食べられてしまい、無くなっています。

地面の中で、ハイマツの球果は土と一緒にカチコチに凍っているので、取り出すことができません。そのまま突っつくわけです。こうすれば下側になった実(胚珠)はそのまま春を迎え、上手くいけば芽吹くことができるでしょう。ハイマツがどうして他のマツ類のように風散布型種子へではなく、動物散布型を選んだのかが理解できたような気がしました。羽をつくる進化をするよりも、実を大きく美味しくする進化をした方が、多大な協力を得られ、子孫を残せることが解ったからです。