今日は埼玉県の小学5年生の皆さんを池の平に自然学習ハイキングとしてご案内です。こちらの学校様ももう5年目のお付き合いになります。本当に感謝いたしております。
レンゲツツジの花が散り始めました。間もなくかわってアヤメが一斉に咲き乱れることになります。
「どうして、山の花は同じ時期にじゃなく、少しずつ時期を変えて咲くんだろうね、考えてみてごらん? そうだね、生きとし生けるものがみんなで協力してこの地球を美しく豊かなところにしていこうとしたんだね。いつでも何かの花が咲いていると色とりどりになって美しいし、花粉や蜜を吸う昆虫や、実を食べる動物達も、いつも食べ物があると助かるよね。」
砂礫地、ガレ地に生育するコマクサ。コマクサは根が深く丈夫なのでこんな場所でも繁殖することができる。他の植物では春先に礫が動いた時に根が切られてしまう、進化適応、コマクサはこの環境をニッチとし、この環境の優占種となった…
もっともらしい解説ですが、本当にそれだけでしょうか。生き物は、強いものが生き残り弱いものが淘汰されていった=弱肉強食の結果こうなった、と一般的には考えられていますが、この場所に生きようとしたコマクサを周囲が支えた、協力した、ということはなかったのでしょうか。この環境以外では生きられないコマクサは、とても弱い存在です。それでも、可憐な花をつけるし、蜜はハナバチの餌になります。周囲の生き物たちが、そんなコマクサを見て愛おしいと思うことは自然なことであり、自らも進化してそのニッチを占領しよう、とは思わなかったのではないでしょうか。
とすると、生物進化のもう一つの理由は、「愛」である、と考えられる訳です。どんな弱いものでも、共に生きて行けるような世界にしようとみんなで協力し合った結果、こんなに多様で美しい星になった。 恐竜がなぜ滅びたのか、それは弱肉強食指向が強すぎて、愛が足りなかったから。ワニ、ヘビの冷血な目。目は唯一脳の様子が丸見えになった器官です。巨大なワニやヘビが支配していた時代、世界の植物すべてを食べつくそうとして大きくなった草食恐竜とそれを狙う大型肉食恐竜。恐竜の世界をイメージするに「愛」や「思いやり」がそこにあるとは思えません。だからあのままでは生き残れなかった。
そう考えると、ただ相手を凌駕するためだけに大きくなりたい生物は生き残れない、ということになります。では北米のレッドウッドやメキシコのヌマスギなども、将来的には危ういかも? ただし、「愛」があれば生き残れます。屋久島のヤクスギは巨大でしたが「愛」がありました。様々な森の生き物達の営巣場所となり、また自らの樹体に他の樹木も寄生させていました。世界の巨木たちも、同様にして他の生物達に生活場所を与えているから今でも生き残っているのでしょう。
自然から学ぶことは本当に多く、そして深いですね。