佐藤甲子さんのキジ車

ふと、クライアントから木工・クラフトの依頼が多いが対応できていない現状を思い出しました。

高齢化により技術の伝承が危ぶまれている地域の伝統工芸品や民芸品などの「ものづくり技術」。これを達人たちから学ぶものづくり技術育成スクール、

「ものづくり伝道師・浅間吾妻塾」

協会メンバーの茂木さんからキジ車のアイデアをいただき、そこで思い出したのが 2005 年5月に浅間牧場で行われた植樹祭での「長野原町五人衆」の皆さんです。

長野原の達人、佐藤甲子さん。

長野原町では小正月に、むかしからキジ車を作って飾る風習があります。材料の木は「ヌルデ」だそうです。長野原町では日陰の森でよく見られるそうです。軟らかくて加工しやすいそうですが、私は、美しい木目が後頭部に出ていることに気付きました。この木目がキジの鮮やかな羽の色に似ている、だからヌルデを使っているのではないか…と思いました。

キジ車は、本当のキジに近い様な、割と大きなものを作る様です。今日見せていただいたものは60㎝位あります。そして鳥らしくハト胸を作るためには曲がった木が必要です。これも、雪が降る地域で斜面が多く、そしてヌルデがあるところ…、これこそ、長野原町の伝統工芸品としてかけがえのないものです。オンリーワンです。これは絶やすわけにはいきません。

車もヌルデ、車輪を止める細い木もヌルデです。この車輪を付けるために腹の部分に加工をしますが、釘は使わず、木工用ボンドで止めます。理由は、

「生き物だから、釘で打つとかわいそうだから」だそうです。なんと温かい、人間味ある民芸品なのでしょう!

他にも、佐藤様から「わんこ」と呼ばれるものを紹介していただきました。これも小正月につくり、米などを入れて飾るそうです。今回は、これを作ることまでできるかどうかわかりませんが、紹介だけしておきます。