公益財団法人 群馬県埋蔵文化財調査事業団が運営する、発掘情報館に行ってきました。
http://www.gunmaibun.org/index.html
ありました、ハート型土偶。
やはりこれもまた、群馬県では偉大な発見ですよね。30.5cmの本物と同じサイズのレプリカがようやくありました。
ちょうど昨日、上毛新聞の「新東国浪漫」でハート型土偶の記事(上)が掲載されていたので、それによると、戦中、鉄鉱石の輸送路線として突貫工事で建設された旧国鉄長野原線(現JR吾妻線)で、1944年7月、東吾妻町郷原の新駅設置に伴う道路の拡幅工事で出土したそうです。しかし当時は敗戦が濃くなる戦況で、世間に発表できる空気ではなく、戦争が終わった後、1954年、発見から10年後にしてようやく発表されたとのことです。
ハート型の顔は不必要な部分を省略し、眉毛から口までを輪郭で表現した造形で、さらに全体も見事に抽象化されています。それが、芸術家パウル・クレー(1879-1940)の人物画に驚くほど似ているとのこと。面白いですね。
私としては、鼻を大きく取り扱っているあたりが、縄文人、古代人らしいと思います。嗅覚は野生においては最も大切な感覚器。虎やライオンの体臭や排泄物の匂いが判らなければ生き残れなかった、もっと昔では凶暴な肉食恐竜が近くにいることが判らなければ哺乳類は進化できなかったのですから。
土偶は、割と乳房や妊娠を表現したものが多く、生命誕生の神秘性を具体的に造形したものであり、生きることへのひたむきな願いが表現されているという説があるそうです。しかし、ハート型土偶は妊娠の表現ではなく、逆にほっそりした筒型で、男性を表すシンボルなのだそうです。そこに乳房がある…。社会の安定と繁栄は女性と男性によって成り立つものである、ということを表現しているのでは?と示唆されていました。なるほど…