東谷風穴(中之条町)

国指定史跡 荒船・東谷風穴蚕種貯蔵所跡(東谷風穴)

風穴とは、山腹にある岩の隙間や横穴から冷風が吹き出す場所のことで、東谷風穴もその一つで、周囲が低音に保たれるため、明治の終わりから昭和初期にかけて蚕種の保存に利用されてきた。

 東谷風穴は、東谷山(あずまやさん)の中腹(標高約680m)にあり、吾妻郡(旧)東村の奥木仙五郎氏、中之条町赤坂の綿貫形次郎氏らが中心となって、明治40年に蚕種貯蔵業を始めました。主となる一号風穴は、風の吹き出し口の周囲を石垣で囲んだ地上一階、地下二階の建物で一階は整理室、地下一階は冷蔵(蚕種保存)室、地下二階は氷庫として使用されていた。

 第二次世界大戦後は、電気冷蔵設備の普及や蚕種製造業者の合併などにより使われなくなったが、蚕種保存が養蚕技術の発展に果たした役割は大きく、大道の富沢家住宅とともにわが国を代表する養蚕業の近代化遺産として貴重な文化財である。